松本潤インタビュー:「『19番目のカルテ』はありそうでなかった、温かい作品」

2025年7月 よりTBS系「日曜劇場」にてドラマ化が決定いたしました『19番目のカルテ 徳重晃の問診』!

主人公・徳重晃役を務める松本潤さんに、初めての医師役となる本作について、出演決定の経緯や原作への思い、日本ではまだ馴染みのない「総合診療医」という役に挑む心境をお伺いいたしました!!

松本潤プロフィール

1983年8月30日生まれ、東京都出身。

1999年11月に嵐のメンバーとしてデビュー。「花より男子」シリーズ、「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズ、大河ドラマ「どうする家康」、舞台「正三角関係」など多くの作品に出演している。

 

 

 

◆温かくて魅力的な原作が出演の決め手になった

ーー最初に、日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系)への出演を決めた理由を教えてください。

一番の理由は、制作陣の熱意です。そして、原作がすごく温かくて、ありそうでない魅力的なストーリーだったことも決め手でした。

 

ーー松本さんとしては初めての医師役になります。

白衣を着たり、診察する側になったりするのは新鮮ですね。

原作である『19番目のカルテ』が、ここ数年で新しく病院に置かれるようになった専門医「総合診療医」をテーマにしているのもおもしろいです。

 

ーー総合診療医という仕事をどう捉えていますか。

ひとつの領域に特化するのではなく、いろんな可能性を広く診る医師だと思います。

病院には18種の専門医がいるんですが、総合診療医は専門を越えてすべての可能性をフラットに見て診断する19番目の専門医なんです。

クランクインの前に、医療監修の生坂政臣先生にお話を伺ったのですが、日本ではまだまだ新しい存在らしく、これから広まっていく領域なのではと感じました。

 

ーー総合診療医のことはもともとご存知だったのでしょうか?

恥ずかしながら知らなくて、いまは役作りのために総合診療医の方に取材させてもらっています。

 

ーー役作りの中で印象的だったエピソードがあれば教えてください。

総合診療医の先生に言われたことで一番印象に残っているのは、「たいていのことは問診で見つけられる」という言葉です。

総合診療の場合は問診がもっとも重要で、時には1時間以上もかけて細かく問診をするんです。

そして問診からわかったことを元にひとつひとつ選択肢をつぶしていき、最終的に残った選択肢をもとに診断していきます。

症状だけでなく、精神的な状況や家族・仕事などの社会的な立場なども診察する仕事で、これまで以上に多角的に患者さんを診療するのだなと思いました。

他の科の医師とは、少し違ったやり方で診断をしていくので、ドラマでどう描くかも注目して欲しいです。

 

 

◆主人公の徳重は「おっとりしているだけではない人」

ーー今回松本さんが演じられるのは主人公で総合診療医の徳重晃(とくしげあきら)です。松本さんはこの徳重晃をどんな人物だととらえていますか?

日頃から“ぽわぽわ”しているように思われる徳重

原作を初めて読んだ時の印象は、「おっとりして人の痛みがわかる温かい人」でしたが、それだけではないと思っています。

徳重はやわらかいコミュニケーションができる人なんですが、医師として診察するときは、自分のその「やわらかさ」を意図的に使っているように見えるんです。

だから僕は徳重を「過去に医師としていろんな経験をしたうえで、総合診療医を選んだ人物」だと考えています。

 

ーー徳重とご自身で、重なる部分はありますか?

現場では徳重のことをよく「ぽわぽわしている」と表現してるんですが、ぽわぽわしているように見えて裏ではずっと原因や対策を考えている、という点は自分と似ているのかもしれません。

 

ーー今回演じられる徳重の他に、気になるキャラクターがいれば教えてください。

徳重の師匠である、赤池先生(田中泯)はすごく素敵だなと思いました。

医師4年目の徳重が出会った離島の医師・赤池

離島で診療をしている医師なんですけど、「この町で救急車が必要なときはどうすればいいか」「この横断歩道は島の住民にとって安全か」など、常に島民の生活を医師の視点で見てるんです。

赤池先生の指摘で救われる命や、なくなるケガがあると思うので、すごく魅力的だと思います。

 

ーーもしご自身が診察を受けるならどのキャラクターの診察を受けたいですか。

東郷先生(新田真剣佑)かな。

頭頸部外科の東郷

徳重とは性格も考え方も真反対のキャラクターだけど、結果を出してくれそうなので(笑)。

 

 

◆総合診療医もいいなと思ってもらえる作品にしたい

ーー他の医療ドラマと比べたときの『19番目のカルテ』の魅力について教えてください。

『19番目のカルテ』は医療ドラマなんですが、手術のようなかっこいい医療シーンを見せ場としてない作品なんです。

それをどうおもしろくするかが僕らのチャレンジでもあるし、このドラマならではのおもしろさでもあると思います。

 

ーー原作とドラマではどんな違いがありそうですか。

原作のマンガは、軽いタッチで読める作品で、劇的な変化が起きるのではなく、時間をかけて少しずつ状況が変化したり、いろんな事実がわかってくる。

すごくリアルで、どんどん次を読みたくなる作品なんです。

でも、ドラマだとマンガより大きな演出が必要になるし、原作で描かれていないシーンを補う必要も出てきます。

なので原作をもとに緩急をつけたり、描かれていない部分をスタッフと想像したりしながら作っています。

 

ーー問診を通した「対話」の重要性が描かれている作品でもありますが、ご自身が考える対話の重要性について教えてください。

特に直接会って話すというコミュニケーションはすごく大事だと感じます。

自分がおかれている環境は、誰かが間に入ることでスピーディになる代わりに重要なことが伝わらないことがあるんです。

たとえ時間や手間がかかっても、自分の熱意や思いを伝えるために直接話すというのは大事だと思います。 

 

ーーこれから本格的に制作に入っていかれると思いますが、どんなドラマにしたいですか。

いままで総合診療に触れたことがない方が、総合診療の現状を知れるような作品にしたいです。

それから、医療関係者の方にも納得してもらえるような、なるべく嘘がないものにしていきたいです。

総合診療は地味と言われることもある部門だそうですが、ドラマを見て「こういうお医者さんもいいな」と思ってもらえると嬉しいです。

 

ーー最後に、ドラマを楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

日曜劇場に出るのはすごく久しぶりなので、戻って来ることができてとても嬉しく思っています。

今回は医療がテーマで、心が温かくなるような作品です。2025年のいまだからこそ描けるドラマだと思うので、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。

 

ーー本日はありがとうございました!

 

ライター:まいしろ(X:@_maishilo_)