Netflix映画『シティーハンター』場面写真 ©北条司/コアミックス
来年で40周年を迎える大ヒット漫画『シティーハンター』。Netflixでの映像化を記念して、特別対談を実施!
鈴木亮平が目指した冴羽瞭像や北条司が唸った令和ならではの演出など、実写映画『CITY HUNTER』制作秘話を濃密に語ってもらいました!!
(「月刊コミックゼノン6月号」に掲載の対談記事より一部抜粋。)
「ようやく来たか!」だった鈴木亮平版『CH』
── 今回、対談にあたって映像を見せていただきましたが、いちファンとして本当に面白かったです!
鈴木:本当ですか。嬉しいです。やっぱりファンの人にどう思ってもらえるかが一番気になるので……。
北条:僕も楽しめました。面白い。それ以上言うことないですよ。
鈴木:ありがとうございます! いろんなところで『シティーハンター(以下、CH)』の獠をやりたい」と言い続けてきましたが、いざ演じるとなると…。僕だけが好きな物語だったらともかく、日本中の人が好きな作品ですから。責任と緊張で、嬉しさはどんどん小さくなっていきました。夢を叶えるってこんなに苦しいんだって。
── 最初、どんな話からスタートしたか覚えてますか?
北条:もう忘れちゃった(笑)。ただ、僕のなかでひとつだけ決まってたのは、鈴木さんありきということ。やっぱりラブコールをくれる人にやってもらうのが一番なんで。だから、お話が来たときも「ようやく来たか!」という感じだったと思います。何をグズグズしてるんだ、と(笑)。
鈴木:先にあのクオリティの高いフランス版(『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』)が公開されちゃいましたしね。ものすごく愛のある映画で、自分が演じるとなったときはめちゃくちゃプレッシャーでした(笑)。
天野翔子編の獠が理想の横顔
── でも、実際見ると実写として違和感なく獠になっていると感じました。
鈴木:イメージ自体はできていたんです。というか冴羽獠はもういるんです。僕の中に。僕は半分「自分は冴羽獠だ」と思って生きてきたので(笑)。だからイメージをつくる必要はなくて、具体的にやったのはまず自動車の免許をマニュアルに変更することでした。ミニクーパーを運転するために。あとは銃の扱いを身体に染みこませることですね。
Netflix映画『シティーハンター』場面写真 ©北条司/コアミックス
── 亮平さんと言えば身体づくりも毎回話題になりますよね。
鈴木:獠の体格って人によってイメージが違うんですよね。
北条:作者がいい加減だから(笑)。年月とともに体型も変わっていったんでね。
鈴木:(笑)。原作でも初期と中盤、後期と顔つきも違いますもんね。さらにアニメのイメージが強い人もいるでしょう? アニメもシーズンによってけっこう絵が変わる。
北条:細身だったり、筋肉質だったりね。
鈴木:今回、僕はまず服を着ているときに冴羽獠に見えるように、というのを考えました。あんまりゴツいと海坊主みたいになっちゃうし、街中で目立っちゃう。だから、身体はある程度シャープにしていきました。それと、顔に関してはイメージしたマンガのコマがあるんです。セスナ機パイロットの天野翔子が登場するエピソードがあるじゃないですか。あのエピソード大好きなんです。飛行機恐怖症なのに香のためなら乗れちゃうっていう。あと、アパートにセスナが突っ込む場面。あの後どうしたんだろうって(笑)。
北条:ああいうツッコミどころをつくるのが楽しいんですよ(笑)。ツッコんでほしくていろいろ描くんですけど、意外と読者に気づかれなかったりするんです。
鈴木:ああいうのがマンガの魅力ですよね。で、僕が大好きなのが、獠が車のルーフから顔を出して銃を構えるコマなんです。そのときの横顔、顎のラインがかっこよすぎて、この顔になりたいって生きてきたくらい(笑)。だから、あの顎のラインだけはシャープに出したいと思ってつくっていって、結果的にけっこう絞る形になりました。
北条:鈴木さんが出ていたドラマ『天皇の料理番』を見ていたんですけど、あの中で鈴木さんはどんどん痩せていったじゃないですか。そうすると顎のラインが出てくる。それを見たとき、「ああ、獠ができる顎だな」って思いました。
鈴木:本当ですか(笑)。
Netflix映画『シティーハンター』場面写真 ©北条司/コアミックス
特徴がないから真似しづらい北条絵
北条:ただ、一方で僕はマンガと実写、現実って全然繋がって考えられないんです。マンガはマンガ、2次元の世界のもので、現実とは区別しちゃっている。だから、実は見た目みたいなところはともかく、獠らしさ、獠っぽさってわからないんです。「現実に獠がいたらどんな感じでしょう?」って聞かれることもあるんですけど、わかんないよって(笑)。イメージできない。
鈴木:罪な人ですね、それは(笑)。読んでいる側は「獠はいる!」って思っちゃう。今回の映像化でも「新宿に行ったら獠が本当にいるかも」という世界観にしたいと思っていました。
北条:ふしぎだよね。僕からするとマンガは平面で、声も音もないわけだから、現実とまったく別のもの。女性キャラクターに関しても「理想のタイプを描いてるのか?」と聞かれたりするけど、2次元の世界でキレイに見えるように描いてるという感覚でしかないです。
鈴木:アニメはどうなんですか?
北条:やっぱり平面ですね。ただ、もともと動くはずがない絵というものが動いて、平面なのに立体っぽく見えもするというところに驚きと魅力を感じます。
鈴木:じゃあ、アニメ版はご自身の描いたものの延長線上という感覚なんですか。
北条:そこがまた難しいところで。僕の絵って特徴がないんですよ、自己分析してみると。で、特徴がある絵は、たとえば輪郭とか目とか特徴的な部分をとらえれば、多少違っても似て見える。だけど、僕の絵は特徴がないから、原作の絵に合わせようとするとかえって違いや描いた人の特徴が目立ってしまう。だから、描きやすいように変えてくれっていつも思ってます。それは実写でも同じですね。自分の手を離れた時点で絶対に何かは変わるので、任せた時点で「好きにやってください」と思ってます。獠に関しても、役者さんが演じることでそれが獠になると僕は思ってます。その人なりの獠がいるんだろうなって。
文 / 小林聖
本ブログではここまで!
好評発売中の「月刊コミックゼノン6月号」には対談全文を掲載!!!!
↑北条司先生執筆の特製クリアファイルが付録に!!!↑
紙版の購入はこちら
電子版の購入はこちら(5月1日発売開始&予約受付中!)
誌面では、鈴木亮平さんと北条司先生の直筆サイン入りポスターが当たる豪華プレゼント企画も実施中!!
※電子版には、『シティーハンター』映画特製クリアファイルと鈴木亮平&北条司直筆サイン入りポスター応募券は付きません。予めご了承ください。
***
鈴木亮平
1983年3月29日生まれ。2006年に俳優デビュー。主な出演作に『西郷どん』『天皇の料理番』『下剋上球児』『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』など。
北条 司
『キャッツ♥アイ』で連載デビュー。1985年より『シティーハンター』連載開始。続編『エンジェル・ハート(2ndシーズンを含む)』を2017年まで連載。